アウシュビッツを伝承する唯一の日本人から学んだ、“伝える”に大切なこと。
いま、“伝えたい事”がありますか?
“伝えたい事”を自分なりに表現して、伝わらなかったら
「なんで、伝わらないんだろう?」
こう考え込んで落ち込んじゃう時ありますよね。
“伝えたいこと”を“伝えられる自分”になりたい。
一人一人がそうなれば、世界はもっと平和になる。
そんなことを考えている僕に、とても大切なヒントをくれたお話です。
アウシュビッツ博物館、唯一の日本人ガイド
そこはかつて、ユダヤ人大虐殺が行われた「ホロコースト」の象徴的な場所で、“負の世界遺産”と呼ばれている場所。
↓詳細はコチラの記事をどうぞ↓
ここで僕たちのガイドをして下さった、中谷剛さん。
彼の生き様が“伝えられる自分になる”上で、大切なことを教えてくれた。
中谷さんは、アウシュビッツ博物館を公式にガイドできる唯一のアジア人で、歴代ガイドの中で初めての外国人だ。
1991年にポーランドに移住し、ポーランド語を勉強していると、戦争の話が良く出てきた。なんでポーランドに人たちはこんなに戦争の事を伝えたいんだろう?と疑問を抱いている時に彼はアウシュビッツ博物館を訪れる。
「あ、ここのガイドになったら、戦争の歴史を伝える意義を中から教えてくれるかな」と思ったのがきっかけで、必死に勉強してガイドになったそうだ。
↓もっと細かい経緯は、この記事が素晴らしいです。
「昔は、ここのガイドはアウシュビッツの生還者の方がしていたんです。その経験をしていない僕たち今のガイドが、それを伝えていくことはとても難しい」
戦争を体験していな外国人である中谷さんは、この責任ある役割を担って約20年ほど。
どうやって“伝えていくか”を常に自分に問いかけてきたんだろう。
相手に合わせて問いかけていく
中谷さんのガイドは、アウシュビッツ強制収容所やホロコーストの歴史や経緯、そこで起きた悲劇やドラマを紹介していくのはモチロンなのだが
特徴的なのは、ガイドしている相手に質問を投げかけて
その相手の意識に合わせて、話題を選んでいくところだ。
(時々立ち止まって、コミュニケーションをとったり、質問を受け付ける)
一方的に話つづけるのではなく、コミュニケーションを頻繁にとる。
こっちから、質問をしたり、話題を出せば、それが的外れでも最後までしっかり耳を傾けてくれていた。
日常的な会話でもそうだが、人は自分の話を遮らずに聞いてくれる人を信頼するようだ。
相手の話をしっかり聞くからこそ、相手がどんなことに興味があるのかが分かる。
そして、さらに中谷さんが相手の関心に合わせて、さまざまな問いかけをしていく。
「日本で起きているヘイトスピーチをどう思いますか?」
「こういう状況におかれたら、あなたはどうするでしょうか?」
すぐに中谷さんの答えを出さない。
相手に問いかける事で、相手自身に考えて貰えるからだ。
まずは“愛される自分”になること
ぼくは中谷さんにこんな質問をした
「中谷さんが“伝える”上でイチバン大切にしてることは何ですか?」
その質問に対しても、すぐにピンとくる答えは来なかった。
僕に合わせた問い掛けや答えを探してくれていたのかもしれない。
中谷さんのガイドが終わる直前の言葉に、僕への最高の問い掛けとなった。
「“伝える側”となる僕たち自身が、まずは愛される人になることかもしれませんね」
伝えたい。そんな気持ちが出てくると、僕たちは技術を追い求めがちだ。
「どのように話せばいいのか?」「何を伝えるべきか?」「伝える順序は?」
たしかに、技術も大切だ。
だが、いちばん大切なのは、「伝える相手が、自分の言葉を信じてくれる」かどうかだ。みんな“どうでもいい人”より“大切な人”の言葉を信じる。
“プロポーズの言葉”より“プロポーズする人”の方が大切だろう。
伝えたい相手に愛される人になればいいとしたら。まずは相手を愛すること。
収容者同士で助け合ったり、誰かを思いやる行動をとれば、懲罰をうける。
中には、二度と戻ってこない者も少なくなかった。
愛し合うことが美しい今の時代さえ、当たり前なことじゃない。
僕たちのメッセージは、“どうやって伝えるか”以上に、その人の普段の言葉や行動のすべてがメッセージとなっている。
つまり、“自分がどうあるか”が一番大切なのだろう。
伝えたいことがあるなら、まずは人を愛することから始めよう。
愛される人のメッセージは、愛されるメッセージになる。